天寿国繡帳
飛鳥時代の染織工芸品 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)は、奈良県斑鳩町の中宮寺が所蔵する、飛鳥時代(7世紀)の染織工芸品。天寿国曼荼羅繡帳(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)とも呼ばれる。
銘文によれば、聖徳太子の薨去を悼んで妃の橘大郎女が作らせたという。「天寿国繡帳」とは「聖徳太子が往生した天寿国のありさまを刺繡で表した帳(とばり)」の意であり、「天寿国」とは、阿弥陀如来の住する西方極楽浄土を指すものと考証されている。古記録に基づく考証によれば、制作当初は縦2メートル、横4メートルほどの帳2枚を横につなげたものであったと推定されるが、現存するのは全体のごく一部にすぎず、さまざまな断片をつなぎ合わせ、縦88.8センチメートル、横82.7センチメートルの額装仕立てとなっている。このほかに断片2点が別途保存されている。断片のみの現存であるが、飛鳥時代の染織工芸、絵画、服装、仏教信仰などを知るうえで貴重な遺品であり、国宝に指定されている。