無煙火薬
爆発時の発煙量が少ない火薬 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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無煙火薬(むえんかやく)とは、爆発時の発煙量が少ない火薬を指す。燃焼速度が高すぎない特徴も持つ。
火器(銃・砲)の発射薬(ガンパウダー)に適した燃焼速度を持つ火薬として開発された。発射砲弾の加速効率の良さ、銃砲身・腔内の負担低減が得られる[注釈 1]。それまで黒色火薬や褐色火薬(有煙火薬)を発射薬として用いた場合の欠点を克服した。
なお「無煙」とは、大量の煙を出す黒色火薬に比較して発煙量が少ないという意味で、燃焼には白煙を伴う。特に大量の装薬を使う大型火砲などでは多くの煙が出るが、黒色火薬と比較して発生した煙が晴れるのも早い。
ほかに無煙火薬の特徴として、燃焼後の灰分が減り、銃砲の清掃周期が延び、薬室内部に滓がこびりつく頻度も減ったので、速射砲や機関銃のような自動火器の信頼性向上に大きく貢献した。
また、発砲炎も抑制されているが、銃・砲口から出る火炎には薬室内での燃焼から出る「一次火炎」と銃・砲口から出た後で空気中の酸素と反応して出る「二次火炎」があり、二次火炎の方が輝度が大きく使用者の視界に悪影響を与えるため、これを抑制するために消炎剤を添加してある。 一方、一次火炎を抑制するためには火薬自体の組成を調整する必要がある。
基本成分はニトロセルロース[注釈 2]、ニトログリセリン、ニトログアニジンの3つが基剤となる。火薬は、ニトロセルロースだけを原料に用いたもの、ニトロセルロースとニトログリセリンを用いたもの、3つの物質を用いたものの3種類に大別できる。それぞれ、シングルベース火薬、ダブルベース火薬、トリプルベース火薬と称される。各々は、推進性能、消炎性能、発煙量、焼食[注釈 3]抑制性能などが異なる。シングルベースは砲口炎が多く推進性能が低いものの安価で焼食が少なく、ダブルベースは推進性能は高いものの焼食が大きく、トリプルベースは砲口炎が少なく、推進性能が高く、焼食も少ないが高価となっている。