微生物生態学
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微生物生態学(びせいぶつせいたいがく)とは、微生物を中心とした生態学を扱う学問分野であり、微生物間の相互作用や、微生物と環境との相互作用を扱う学問分野である[1]。環境微生物学とも言われる。英語では'Microbial Ecology'と表記させることが多い。真核生物、古細菌、細菌という分類学上の3つの主要ドメインのほか、ウイルスについても扱われる[2]。
微生物はあらゆる環境に遍在しており、生物圏全体に影響を与えている。微生物は地球上のほぼあらゆる環境において、生物地球化学的に主要な役割を果たしており、これには例えば南極の氷床や酸性湖、熱水噴出孔、水深11,000m以上の海底といった極限環境から、人間の小腸に至るまで含まれる[3][4]。微生物の細胞数は莫大であり(地球上の微生物の総量を5.0×1030細胞として計算すると、これは観測可能な宇宙の星の数より8桁も大きい数字になる[5])、そのバイオマスのために微生物は地球上において主要な炭素吸収源の一つとみなすことができる[6]。微生物は炭素固定の他にも様々な集合的代謝プロセス(窒素固定、メタン代謝、硫黄代謝など)を担っており、地球規模の生物地球化学的循環を駆動している[7]。このような様々な微生物の代謝の様相は、仮に真核生物が全く存在しないとしても、おそらく変化せずに行われるような、普遍的で永続的な現象であるとみなせる[8]。