報酬系
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報酬系(ほうしゅうけい、英: reward system)とは、インセンティブ顕現性(たとえば報酬に対してのモチベーション、欲望、渇愛)、連合学習(おもに正の強化と古典的条件づけ)、ポジティブ感情、とりわけ喜びの中核(幸福感、エクスタシー)を司る神経回路のグループである[1][9]。報酬(Reward)とは、魅力的でモチベーショナルな行動(アプローチ行動)を誘発する刺激であり、欲求行動、完遂行動を誘発するものである[1]。これらの文脈において報酬刺激(単に報酬とよばれる)とは、「それに対して私たちがアプローチし消費させるポテンシャルを秘めるもの(刺激、目的、出来事、活動、状況など)が報酬である」と神経科学分野では記される[1]。 オペラント条件付けにおいては、報酬刺激とは正の強化子であり[1]、また一方でその逆も真であり、正の強化子は報酬である[1]。
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脳の様々な領域が報酬系に関与しているが、その中心的役割を担っているのは中脳の腹側被蓋野、線条体の側坐核である。しかし中脳の腹側被蓋野の神経細胞は、様々な脳領野から軸索入力を受けており[10][11]、その回路の実態は非常に複雑である。
ほとんどの動物種の生存は、有益な刺激との接触を最大にし、かつ有害な刺激との接触を最小にすることに起因する。これら報酬を認知することで、その動物は連合的学習を作り、アプローチと正常な行動が誘発され、肯定的感情が促進されるため、生存および生殖の可能性を高める役割を果たしている[1]。報酬とは、動物の適応能力向上を目的として進化したメカニズムである[12]。