利用者:09Palamedes/sandbox
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西境の赤表紙本(Red Book of Westmarch、その由来からセイン本、セインの本とも[T 1])とは、J・R・R・トールキンの中つ国の伝説体系における枠物語の役を担う、ホビットによって書かれたとされる架空の写本である。これは発見された文書という体裁をとった演出の実例[1]であり、トールキンの描いた伝説体系を説明する文学的装置といえる。作中では、この本には『ホビットの冒険』と『指輪物語』の出来事での登場人物の経験の叙述が収集されており、それをもとにトールキンが各作品を著したとされている。本の名称は、装幀の革とケースに赤色が用いられたこと、中つ国のホビット庄の隣に位置する西境に伝えられたことに由来する。
実際には、トールキンはヘルゲストの赤本にならってこの本を名付けたようである。発見された写本という着想を用いることで、彼は18世紀のサミュエル・リチャードソンが始めた英国文学の伝統を継承したわけである。研究者ゲルゲイ・ナジ(英語版)は、トールキンは自身の伝説体系のなかで『指輪物語』を紹介するにあたって、物語と神話を集めた本物らしく感じられる叢書に組み込み、それをホビットのビルボ・バギンズの筆に帰さしめようとしたと考えている。