代謝性アシドーシス
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代謝性アシドーシス(たいしゃせいアシドーシス、英語: metabolic acidosis)は、体内の酸塩基平衡の不均衡を特徴とする電解質異常である。代謝性アシドーシスには、酸産生の増加、重炭酸塩の喪失、および過剰な酸を排泄する腎臓の機能低下という3つの主な根本原因がある[5]。代謝性アシドーシスは、アシデミア(動脈血pHが7.35未満と定義)を生じる可能性がある[6]。アシデミアとアシドーシスは相互に排他的なものではなく、pHおよび水素イオン濃度は、他の酸塩基障害の併存にも依存する。したがって、代謝性アシドーシスの患者のpHは、様々である。
代謝性アシドーシス | |
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血液中の重炭酸塩(HCO3−)の計算値は、アシドーシスの重症度を反映する。 | |
概要 | |
種類 |
急性 |
診療科 | 腎臓学 |
原因 |
急性: 有機酸の過剰; |
診断法 | 血液中の重炭酸塩(HCO3−)の濃度 |
合併症 |
急性: 罹患率・死亡率共に不良; |
治療 |
急性:糖尿病性ケトアシドーシスの場合はインスリンの投与、乳酸アシドーシスの場合は血管内容量の回復など、代謝問題の根本的原因を軽減する。重炭酸塩の静脈内投与は、病態生理学的には魅力的であるが、適応となることも、慢性的に投与されることもまれである。 慢性: 果物や野菜が豊富な食事、経口アルカリ療法[1]。 |
頻度 |
急性: 重篤な疾患や入院中に発症することが多く、発症率は14~42%である[2][3] |
分類および外部参照情報 | |
Patient UK | 代謝性アシドーシス |
急性代謝性アシドーシスは、数分から数日間続くもので、重篤な病気に起こることが多く、一般に、体内で有機酸(ケトアシドーシスではケト酸、乳酸アシドーシスでは乳酸)が過剰に産生されたときに起こる。慢性代謝性アシドーシスは、週から年の単位で起こるもので、腎機能障害(慢性腎臓病)および/または重炭酸塩の消耗の結果として起こりうる。急性代謝性アシドーシスと慢性代謝性アシドーシスの悪影響もまた異なり、急性代謝性アシドーシスは重症患者において心臓血管系に影響を及ぼし、慢性代謝性アシドーシスは筋肉、骨、腎臓および心臓血管系に影響を及ぼす[7]。
重炭酸塩による補充療法は、慢性腎臓病(CKD)に合併する慢性代謝性アシドーシスに対しては腎機能の低下を遅らせるが、急性代謝性アシドーシスに対しては、適応は限定的である。