マレーガビアル属
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マレーガビアル属(マレーガビアルぞく、学名:Tomistoma)は、インドガビアル科に属するワニ目の属。長く狭い吻部を特徴とし、インドガビアルと同様にこれを魚類の捕獲に用いる。マレーガビアル属に含まれる現生の種はマレーガビアル(Tomistoma schlegelii)のみであり、この他に複数の化石種が包含される。具体的な化石種は T. cairense、T. lusitanicum、T. coppensi、T. dowsoniであるが、これらが側系統群であることを示す研究もあるため、異なる属に再分類される必要がある可能性がある[2][3]。例えば台湾から記載されたT. taiwanicusは2023年の研究でToyotamaphimeia属に再分類されている[4]。
マレーガビアル属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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マレーガビアル Tomistoma schlegelii | ||||||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
古第三紀始新世[1] - 現代 | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Tomistoma Müller, 1846 | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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マレーガビアルの吻部は基部に向けて顕著に広がる。これはクロコダイル科のものに類似しており、現生の他の全てのワニとは異なる系統に属するインドガビアルとは異なる特徴である[5]。しかし骨格の特徴に基づいたクロコダイル科との形態学的類似性に反し、DNAシークエンシングを用いた分子研究からは伝統的にクロコダイル科トミストマ亜科に分類されていたマレーガビアル(およびそれに伴う化石種)が実際にはインドガビアル上科インドガビアル科に属することが一貫して示唆されている[6][7][8][9][10][11][2][12]。
fossilworksによれば、絶滅したマレーガビアル属の化石は古第三紀と新第三紀および更新世の堆積層から発見されており、産出した国と地域にはイタリア、インド、インドネシア、ウガンダ、エジプト、ケニア、中華人民共和国、ネパール、フランス、ポーランド、ポルトガル、リビアがある[13]。
以下の主要な現生ワニ類のクラドグラムは分子系統解析に基づくものであり、マレーガビアルの近縁な関係を示す[7][10][11][2][12]。
ワニ |
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以下のより詳細なクラドグラムは形態情報・分子情報(DNAシークエンシング)・層序情報(化石の年代)を用いた Lee and Yates (2018) による。このクラドグラムでは、マレーガビアル属は絶滅した種も含めてインドガビアル科に置かれている[2]。
インドガビアル上科 |
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(ステムグループ) |