サンクリスピンデー
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サンクリスピンデー(聖クリスピンの祭日)とは、ディオクレティヌス帝(マクシミニアヌス帝の迫害だったという説もある[1] )の迫害により殉教した双子のローマ人クリスピヌスとクリスピニアヌスを祝う日であり[2]、両氏の命日とされる10月25日が該当する。没年は286年や303年とする説などがある。[3][1]
死後、二人は靴製造者や馬具製造者、製革業者の守護聖人となった[3]。
また二人は生前、迫害から逃れるために移ったパリ北東部のソワソンにて、靴職人・靴屋として働きながらキリスト教を説いていた[1]。物を製造する人々の徳性の典型として中世の説教ではしばしば称賛されている[3] 。彼らは逃避先のソワソンにて無料で靴を作り革を配布したとされ、[1] イタリアの画家デ・フェッラーリの作品のなかには貧乏人を助ける二人の様子を描いたものがある[4]。
彼らに対する崇敬が特にイギリスで盛んになったのはシェイクスピアの戯曲『ヘンリー五世』(第4幕第3場)における「聖クリスピンの祭日の演説」で取り上げられたためである。戯曲に出てくる演説は1415年10月25日に、アジャンクールの戦い(後述)に向かうイギリス軍に対し、ヘンリー五世が同祝日を引き合いに出しながら鼓舞する場面である。